年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

「バッキンガム宮殿と大英博物館は外せないわ。あとはハリーポッターのキングスクロス駅9と4分の3番線!」

「ロンドンアイは?王道だよ」

「最高じゃない!」

ガイドブック片手に計画を立てる。あらかじめ行きたいところはピックアップしてあったのだ。あとは細かいことは考えず潤くんに案内してもらおうではないか。

「ホテルはどこ?」

「アールズコートにあるとこ」

「じゃあバスで行こう」

潤くんは私の手からスーツケースを奪うと、当然のように引いて歩きだした。

「さすが紳士の国、イギリス!」

「何言ってんだか」

潤くんは可笑しそうに笑い、

「なぎは俺のお姫様だから、当たり前だろ」

と惜しげもなく甘い言葉で私を翻弄してくる。返す言葉に詰まっている間にバスが到着し、いそいそと乗り込んだ。

ヒースロー空港から市内へ向けて走り出すその風景は、普段の生活を忘れさせてしまうほどに趣が深い。歴史を感じさせる煉瓦造りの家は、ここが外国なんだと実感させるのには十分だ。

それなのに今、隣には潤くんがいる。

ロンドンだよ?
一人旅だよ?

このちぐはぐさが私の脳を麻痺させる。