年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

ランチはシェフのお任せ御膳を注文したのだが、運ばれてきた料理が美しすぎて感嘆のため息が出た。

「すごいっ。綺麗っ」

「見た目も美しいけど味もすごく美味しいと思うよ。ここのシェフはうちの旅館の料理長と師弟関係にある」

「富田屋のお料理もすごく美味しいもんね」

「ありがとう」

富田屋は旅館だけでなく、レストランのみの利用もできる。ちょっとした宴会もできるため、特別な日やお祝い事の集まり等にも使われる。現に私も両家顔合わせのときのレストラン候補に富田屋を入れていたくらいだ。

目の前に広がる玉手箱のような料理は食べるのがもったいないくらい。こんな贅沢、久しぶりだ。お刺身を一切れちょんとお醤油を付けてから口に運ぶ。甘くてとろけるような触感にほっぺが落ちそうになった。

「お刺身美味しい~」

「なぎって食べる姿も可愛いよね」

「げほっ」

この男は、突然何を言い出すのか。数か月会わなかっただけで急に甘い言葉を吐けるようになったとでもいうのか。

思わず動揺しかけたが、ここは大人の威厳でにっこり微笑んで「ありがとう」と切り抜けた。不意打ちはやめてほしい。危うく料理の味がわからくなるところだった。