四日目は貴船まで足を伸ばした。貴船は京都市の北の方にある。もちろん今日も隣には潤くんがいる。
貴船へは叡山電鉄で向かう。観光客用の列車になっていて、景色がよく見える車両だ。
「ほらなぎ座って」
潤くんに促されて座った席からは視界が開けていて外が良く見える特等席だ。新緑が目に優しく清々しい気持ちになる。きっと季節によって見える景色が違うのだろう。
貴船神社の石段を上がると、白無垢を着た花嫁さんがしゃなりしゃなりと歩いているのが目に飛び込んできた。傍らには袴を着た旦那様。二人寄り添いあい、見据える先にはカメラマン。
「……綺麗」
「結婚式かな?」
「前撮りじゃない?」
時々お互い顔を見合わせては柔らかく微笑むその姿は幸せに満ちていて、見ているこちらまで幸せな気分になってくる。
「なぎ、どうした?」
「え?」
「泣いてる……?」
慌てて目元を拭うと確かに涙がじわりと滲んでいた。
「ううん、なんでもない。感動しちゃった。ほら、行こ」
感情を振り払い前へと進む。
そうだ、私は立ち止まったり振り返ったりはしないんだ。前を向く。それがこの傷心旅行の目的でもあるんだから。
「おみくじしよう!おみくじ!」
「確か水占いが有名だってガイドブックに書いてあったな」
「じゃあそれね!」
貴船神社は水の神様が祀られており、水占いという独特なおみくじが有名だ。水に浸けると文字が浮かび上がってくるという、なんともそそられる演出だ。
「恋愛。良い人です、信じなさい、か。うむ、誰を信じたらいいのやら。潤くんは?」
「恋愛。ためらうな」
「短っ!それだけ?」
「ここの神様はわかってるな。ためらわず突き進むことにする」
「あはは!積極的!」
「たぶん積極的に行かないと気づいてもらえない」
「好きな子は鈍感なのね?」
「……残念ながらそうみたいだよ」
潤くんはあからさまに肩を落とした。
いいな、なんか。
私も早く好きな人見つけよう。
貴船へは叡山電鉄で向かう。観光客用の列車になっていて、景色がよく見える車両だ。
「ほらなぎ座って」
潤くんに促されて座った席からは視界が開けていて外が良く見える特等席だ。新緑が目に優しく清々しい気持ちになる。きっと季節によって見える景色が違うのだろう。
貴船神社の石段を上がると、白無垢を着た花嫁さんがしゃなりしゃなりと歩いているのが目に飛び込んできた。傍らには袴を着た旦那様。二人寄り添いあい、見据える先にはカメラマン。
「……綺麗」
「結婚式かな?」
「前撮りじゃない?」
時々お互い顔を見合わせては柔らかく微笑むその姿は幸せに満ちていて、見ているこちらまで幸せな気分になってくる。
「なぎ、どうした?」
「え?」
「泣いてる……?」
慌てて目元を拭うと確かに涙がじわりと滲んでいた。
「ううん、なんでもない。感動しちゃった。ほら、行こ」
感情を振り払い前へと進む。
そうだ、私は立ち止まったり振り返ったりはしないんだ。前を向く。それがこの傷心旅行の目的でもあるんだから。
「おみくじしよう!おみくじ!」
「確か水占いが有名だってガイドブックに書いてあったな」
「じゃあそれね!」
貴船神社は水の神様が祀られており、水占いという独特なおみくじが有名だ。水に浸けると文字が浮かび上がってくるという、なんともそそられる演出だ。
「恋愛。良い人です、信じなさい、か。うむ、誰を信じたらいいのやら。潤くんは?」
「恋愛。ためらうな」
「短っ!それだけ?」
「ここの神様はわかってるな。ためらわず突き進むことにする」
「あはは!積極的!」
「たぶん積極的に行かないと気づいてもらえない」
「好きな子は鈍感なのね?」
「……残念ながらそうみたいだよ」
潤くんはあからさまに肩を落とした。
いいな、なんか。
私も早く好きな人見つけよう。



