年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

「はい、潤くんも食べて」

「え……」

「ほら」

半ば強引に潤くんの口へ押し込むと、モグモグとしながらふいと目をそらされた。ちょっと強引にやりすぎたかなと反省しつつ自分も二つ目のわらびもちを口に運ぶ。プルンプルンでとろけてしまうような食感はいくらでも食べれそうだ。

「めっちゃ美味しい!ね、潤くん」

「なぎって……いや、なんでもない」

「は?何?言いかけてやめるとかよくないよ」

潤くんは口元を押さえて横を向く。詰め寄る私に視線だけ向けて照れたように言った。

「間接キスとか抵抗なし?」

「…………は?」

言われた意味がわからなくてわらびもちを落としそうになった。

「か、間接キス……?!」

反芻して手に持っている串を見る。
確かにこの串でまず私がわらび餅を食べて、その後同じ串で潤くんの口に突っ込んでしまった。そしてまた私が食べたけど。

「ご、ごめん。配慮足らなかったわ~。なんか潤くんって家族みたいな感じだからさ~。気分悪かった?」

「いや、そういうことじゃなくて。……ていうか家族みたい?!」

「うん、弟みたい」

「……チッ」

「ちょっと、また舌打ちしたでしょ?」

「はあ?してないし」

急に態度が悪くなった潤くんは無言で目の前のほうじ茶パフェをパクっと食べた。スプーンでひと掬いするとそれを私の目の前につき出す。

「なぎ、口開けて」

「……そのスプーンだと間接キスですけど?」

「いいんだよ」

意地悪く言ってみたら潤くんは照れてるのか怒ってるのか、よくわからない態度で私の口にスプーンを突っ込む。ほんの少しの渋みとクリームの甘さは、乱暴なのか優しいのかよくわからない潤くんの行動とよく似ている。

「美味し……」

口の端についたクリームをペロリと舐めると甘さだけが口いっぱいに広がって何だか幸せな気持ちになった。