年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

松風での滞在をたっぷりと堪能した私は名残惜しくチェックアウトも済ませ、嵐山へ向かった。

潤くんとは昼前に嵐山駅集合にしてある。約束の時間まではまだたっぷり余裕があるのに、駅に近づくにつれてなぜか緊張してきた。というより、昨日の夜からずっとドキドキしている。不整脈の気はないはずだけど。

先に一人でプラプラと散策していると、たくさんのカップルが目についた。しかも着物を着た若者が多いこと。やはり京都を着物で歩くというのは絵になるのだ。そういえばガイドブックにも着物レンタルのお店の広告がたくさん掲載されていた。

「……私も着たいぞ」

好奇心と羨ましさがわき上がり、予約なしでもレンタルできるお店に飛び込んだ。そういう行動力は私の良いところだと思っている。

目の前に並ぶ色とりどりの着物たち。
魅力的すぎてどれにしようか本当に迷ってしまう。

「これ可愛い!」

ピンク地をベースに大きな牡丹がデザインされた着物を手に取る。

「このお着物可愛いですよね。今大変人気がありますよ」

「じゃあ、これにしようかなぁ」

さささっと着付けをしてもらい、髪も簡単にヘアアレンジをしてもらった。姿見で確認してテンションが上がる。着物を着るだけで急に和の心に目覚める気がするのはなぜなのか。

ピンクがベースだとちょっと子供っぽいかなと思ったけど、逆にこういう時しか着れない気がする。大人可愛いとはよく言ったもので、普段とはテイストの違う自分の姿に気分は上々だ。これは潤くんびっくりするかもしれない。