年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

松風の伝統的な建築物に現代に合わせた新しい機能を加えたであろうその内装は、見る者を魅了してやまない。

私はいちいち感動しながら、束の間の贅沢を堪能した。

ああ、めちゃくちゃ癒される。
そうそう、こういうのを求めていたんだよ、私は。
傷心旅行、最高!

夕食の時間になり、和食レストランへ赴く。部屋食にもできたけど、一人で食べるのはちょっぴり寂しい。実は寂しがりやでもある私は、賑やかな空間での食事を選んだ。

「いらっしゃいませ、大野様」

レストランの暖簾をくぐったところで私は驚きのあまりその場で固まった。目が点になるとはまさにこの事だ。

しっかりとアイロンのかかった紺色の作務衣に紺色の三角巾、それに合わせた薄い青色のエプロン。スラリとした体型によく似合うのはもちろんのこと、前髪を上げた清潔感漂う装いはつい目を惹く。

「……潤くん?!」

そう、つい先ほどまで会っていた潤くんが目の前にいるのだ。

「お席までご案内致します」

「えっ、あっ、はいっ」

にこりと微笑まれ思わず我を忘れそうになる。こんな大人な潤くんを初めて見た。もちろん仕事モードなんだろうけど、普段とのギャップについつい母親目線になってしまう。

潤くん、大人になったのね!(うるうる)