年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

その後周辺もプラプラと観光をしているとあっという間に夕方になってしまった。

「なぎ、ごめん。俺バイトがあるからそろそろ行くけど……」

「私もそろそろチェックインしなきゃと思ってたの」

「どこに泊まるの?」

「ふっふーん、よくぞ聞いてくれました。なんと、南禅寺近くの老舗旅館だよ!めっちゃ高級。めっちゃ贅沢」

得意気に言うと潤くんはしかめっ面をした。

「もしかして松風……じゃないよね?」

「大正解!ふふっ、すごくない?超高級老舗旅館だよ。ちょっと奮発しちゃった」

「……すごい」

「でしょー!」

潤くんは口元を手で覆って感嘆のため息を漏らした。

それもそのはず、私が予約したのは京都でも超高級老舗旅館『松風』で、江戸時代創業の歴史ある旅館のひとつだ。数寄屋造りの建屋は京の風情を感じさせ、客室は和モダンにデザインされている高級かつおしゃれな空間。お値段なんと一泊三万八千円。

こんなに贅沢したのはやっぱり傷心旅行だからで、鋭気を養ってなぎさちゃん復活大作戦なのだ。自分への投資は惜しまない。といっても贅沢は今日の一泊のみ。さすがの私も三万八千円を連泊するのは無理だと思う、うん、その辺はちゃんと現実見てるつもり。