「はい、次はなぎの番」
「え?私?」
「彼氏いる?」
「いない」
さっき私が潤くんにした質問と同じことを私に返しながら、潤くんは私の肩をガシッと掴んで石の前まで誘導する。
「好きな人は?」
「…………いない」
ああ、なんかこんなこと初めてかも。
いつだって私には彼氏がいて、いなくてもすぐに次の彼氏ができて、一見軽い女みたいだけどちゃんと結婚の話まで進んだのに。今はなぜかひとりぼっちみたい。
「なぎ?」
「あ、うん、ごめん。じゃあ行きまーす」
私は目を閉じた。
せっかく潤くんが一緒にいてくれるのにこんな考えは失礼極まりない。潤くんとめいいっぱい楽しもう。
コツンと靴が石に当たる感覚で目を開けた。
下を見れば恋占いの石。
「……たどり着いた」
「いい人みつかるかもね?」
「うん、そんな気がする」
「もうみつかってるかもよ?」
「そうかな?」
潤くんが柔らかく微笑む。
その言葉はとても優しくて太陽のように暖かかった。



