年下男子に追いかけられて極甘求婚されています


「失礼します。ヘルプに入りま……」

「なぎ?」

「え、潤くん?」

私はキョロキョロと回りを見回す。

天空の間に比べるとその半分以下の大きさの葵の間ではもうすっかり片付けも終わっていて、真新しいテーブルクロスが敷かれている。

そして作業をしているのは潤くん一人。

「ヘルプ?頼んでないよ?」

潤くんは不思議そうにインカムを指す。

「え、そうなの?部屋間違えたかな?愛莉ちゃんに葵の間にヘルプに入ってって言われたんだけど」

「そっか、皆川さんも気が利く子だね」

「うん?」

潤くんは嬉しそうに笑うと私を部屋に引き入れた。

「せっかく来てくれたから、手伝ってもらおうかな。半月膳を並べてくれる?」

「はい、承知しました」

指示された通りワゴンに用意されている半月膳をテーブルに均等に並べていく。もうだいぶ夜も更けてきたというのに、明日の朝食の準備までが今日の仕事なんだそう。

「なぎ」

「はい」

「……一緒に働いているのが何だか夢みたいだ」

「知らなかったと思うけど、私も真面目に働けるのよ」

「うん、本当に真面目だね。女将の着物もよく似合ってる」

「……おだてても女将にはならないわよ」

「そういう意味で言ったんじゃないよ。俺のお嫁さんになる人は綺麗で可愛くて何でもこなす立派な人だなあって思っただけだよ」

「潤くんこそ、立派すぎて私は足元にも及ばないわ。今までたくさんの努力をしてきたんでしょう。すごいと思うし尊敬するよ。……御膳の次は箸置き並べればいい?」

「うん」

私は箸置きの入った籠を抱え、一つずつ丁寧に並べていく。地道な作業もだんだんと慣れてきて、ペースをつかんできたような気がする。