僕の呟いた言葉なんて、まだ暑さの残る風に攫われて消されてしまう。人だけでなく、この世界さえもきっと僕を必要としていない。そう考えたら生きている意味なんてわからなくて、涙がこぼれた。

僕は、本当なら死んでいるはずだったんだ。先天性の心臓の病気で、入退院を繰り返す毎日だった。学校にもろくに行けず、両親はいつも疲れ切った笑顔だった。

中学に入ってすぐくらいだった。病気が悪化し、心臓移植をしなければ助からないと医者に宣告された。両親は泣いていたけど、僕はベッドの上での生活なら、と死ぬことを一瞬望んでしまったんだ。

でも、その後に奇跡的に僕の体に適合する心臓が見つかり、僕は心臓移植手術を受けて健康な体を手に入れた。両親は泣いて喜んでいたし、僕も普通にみんなと遊べるんだと最初は嬉しかったよ。

でも、世の中の人はちょっとしたことで人を仲間外れにする。体育の時間にジャージに着替えている時、クラスの中心人物に「その傷何?」と手術痕を指差され、僕は正直に心臓移植のことを話した。そしたら、いじめが始まったんだ。