影が光をつくるトキ

私はなぜかピアノに触りたくなって鍵盤に指を置いた。
「ポーン」
そんな音が音楽室に響いた。
今だったら、そう思い私は今度の課題曲を弾き始めようとした。
指に力を込めて鍵盤をおす。
でも、なぜだか音が鳴らない。
自分の指を見るとガタガタと震えている。
私はピアノを思いっきり叩いた。
「バァーン」
不穏な音が響き渡った。
私はピアノから離れて、窓の外を見ている時、
「ポーン」
優しいピアノの音がが響き渡った。
そして、きらきら星が聞こえ始めた。
時々、間違えたりする時もあったけど私には今まで聞いたピアノの中で1番のピアノだと思った。
誰か弾いているんだろうと思い、私は振り返ってピアノに触っている人を見た。
「天使…」
そう私は言葉を漏らしていた。