「兄貴、こいつは豊にまで当たるんだぜ。顔が秀に似てるからってよ。」

「私はそんなことで怒ったんじゃないわ!ただこの人があら探しをしているみたいにこの部屋が散らかっていたから気になっただけよ!」

長女は叫んだ。

「どっちにしろ喧嘩両成敗だ。すみません、中谷さん。弟と妹がご迷惑をおかけしました。」

長男は俺に丁寧に詫びた。

「いいえ、僕が悪かったです。すみません。あとからきちんと片付けますから。」

「そうよ、きちんと片付けてくださいね。」

そのきつい言い方にまた龍之介が口を開こうとしたが長男が先だった。

「桜子、なんて言い方をするんだ。謝りなさい。」

なんか長男が父親のようだ。

「…すみませんでした。」

長女は小さな子供のようにぶすっとしてしまった。

龍之介はため息をついて煙草を取りだし、吸い始めた。

「すみません。僕からもよく言って聞かせますので。」

長男は俺に言った。

すると長女は涙目になった。

「何よ…お兄様たちのせいで…美鈴さんはああなってしまったのに…どうしてみんな私のせいにするのよ?!」

長女は泣き叫んで走って去って行った。

俺はどうしようかと思った。