榊一族

「あ、そーだ。ちょっとまて桜子。お前か？ここ切り取ったの。」

龍之介はさっきのノートの切れはしの部分を指した。

「…違うわ。」


「本当に違うんだな。」

「お兄様はどこまでも私を疑うのね。」

「じゃあ疑いを晴らす証拠持ってこいよ。」

「どういう意味よ？！」

遂に長女は声を張り上げた。

「怒鳴るなよ、いい年してみっともねえな。」

「なによ、元はと言えばお兄様達が美鈴さんをあんな風にさせたんじゃないの！！」

「なんだよ、おまえこそそんなに怒鳴る元気があるならちょっとはガキと旦那に説明したらどうなんだよ。」

長女も龍之介も互いに向き合って睨みあった。

「龍之介、やめろ。」

俺は止めたが…

「関係のない人は下がっててください。邪魔なのよ。」

長女は俺に冷たく言い放った。

「だから豊にキレるなっていってるだろうが！」

ついに龍之介まで怒鳴りだした。

俺はどうすれば…

その時、長男がここを通りかかった。

「やめろ、おまえたち。お客様の前でみっともないぞ。」

長男は鋭い目で二人を見た。その表情は主に似ていた。