俺と龍之介は熟読していた。

すると…

ノートの最後に…

『僕の魂を君にだけ捧げる』

…彼はそれほどまでに桜の君を愛していたのか。

自分の魂を桜の君に与える…

待てよ。本当にそんな意味か?

俺は続きを読もうとしたが…

「魂?でもなあ、それもそれだけじゃん。なーんも魂に関する手がかりもねえし。ん?待て。『魂とは…』あーその先が読めねえ。ちぎられてある。」

誰かがちぎったかのようにその部分はびりっとカットされていた。

しかし何か違う意味があるのではないだろうか。

魂は本当に自分の命を指しているのだろうか?

彼の生い立ちを聞いている俺は、彼の気持ちを考えてみた。

自分の魂をこめて愛する人はいるとしても、魂と言う『もの』は別だ。

しかし…

誰がちぎったのだろうか?
なぜちぎったのだろうか?

俺は龍之介を見た。

「え?俺じゃねぇよ!」

まぁコイツは初めて見たような顔をしていたな。

「俺じゃねえって!マジで!俺は…」

龍之介は突然黙った。

「どうした?」

「俺…バカだな。美鈴にこんな気持ちを味わわせてたんだ。

バカだ…ごめん、悪かったよ…秀。」

龍之介は下を向いて泣いた。