榊一族

次男は煙草に火を付けようとした。

「あれ？ライターつかねえな。」

俺はポケットからライターを出して火を付けた。

「どうぞ。」

「おう、ありがとな。」

次男は煙草に火を付けると、ため息をついた。

「それにしてもよ、なんで死んじまったか俺にも…誰にも分らねえ。」

「本当に自殺だったんですか？」

「俺もそう思った。けど警察がはっきり証明してるし凶器なんかどっこも見つからなかったしなあ…」

それにこの日記にも証明してある。他殺はないか。

すると家政婦さんが入ってきた。お茶を持ってきてくれた。

「まあ龍之介さま、いらしたんですね。お茶を追加してまいりますね」

「ああ、いいよ！俺喉乾いてねえから。」

次男は家政婦さんを呼び止めた。

「よろしいのですか？では、ここに置いておきますね。」

「ありがとうございます。」

そして家政婦さんは中央のテーブルにお茶を置いて出て行った。

俺もお茶を飲んで煙草に火を付けた。

「兄ちゃんも煙草吸うんだ。キセルみたいなの使うかと思ってたんだけど。」

次男は珍しそうに俺を見た。