僕は…僕は無実だ…頼む…誰か信じてくれ…

これは…何のことだろう?

「その日はたしかお兄様が怒ってらしたわね、美鈴さんに。よく覚えてるわ。」

えりさんが言った。

「そのこと、もっと詳しく聞かせていただけますか?」

「そうねえ、私が花瓶の水を替えに廊下を歩いていたらお兄様と美鈴さんの声を聞いたの。」

それは総一郎氏から聞いたものだった。

「それでね、私はなんだろうかって考えながらぁ、そのまま歩いてたらお兄様がどこからともなく私を呼んだの。

『エリー、ちょっと。』

『え?まあ、なあに?』

『美鈴の野郎、あいつはとんでもねえやつだぜ。お宝を手に入れようとしてる。おまえが狙ってるあの地図。』

『どうしてぇ?』

『あいつ俺の部屋でさ、探し回ってたんだよ。俺が何か知ってると思ったんだろ。俺あいつに宝の話したからな。俺の部屋めっちゃくちゃだったから。その証拠に桜子が美鈴に作ったお守りが俺の部屋にあったんだぜ。あいつ、いつも肌身離さずつけてたの俺は知ってるからな。絶対あいつが俺の部屋に入ったんだよ。』

お兄様、とっても美鈴さんと仲が良かったから残念よねぇ。」

えりさんは口を尖らせて下をむいた。