「おぉ、早かったのぅ。もう済んだのかな?」

「はい。お車の手配をしていただき、会社の方も手伝ってくださいました。ありがとうございました。」

「構わんよ。また必要なら遠慮なく申してくれ。」

主は俺に向き直った。

俺はドアを閉めた。

「ここはひょっとして美鈴さんがお仕事をされていたお部屋ですか?」

俺は聞いた。

「うむ、その通りじゃ。」

その部屋はおちついた白い空間だった。

床はフローリングで左に机、中央には絵を描くための机、そして椅子、その隣にはパレット、そして斜め右の奥にはモデルのための椅子が用意されていた。

「落ち着いた部屋ですね。まさに仕事部屋にぴったりだと思います。」

「そう思うじゃろう?美鈴さんも一日の半分はこの部屋で過ごしておられた。

わしは寝床は中谷さんが今泊まっている部屋を美鈴さんにすすめたのじゃが落ち着けんと言って隣の部屋にしたのじゃ。」

俺は十分落ち着けるけどな。

辺りをまた見渡すと洒落た窓が左側に4つあり、机辺りに大きな窓がある。

風通しがよく、窓から見える緑が爽やかだった。