その事件以来、わしはあの絵を大切に飾っておった。きちんと額縁に入れて田中さんに週に一回は磨かせていた。

しかし、飾りだしてからその絵があるところは全部荒されるようになったのじゃ。

どんどん荒らしがひどくなるにつれ呪いやら祟りやら子や孫が言い出した。玄関、居間、わしの書斎、時子の部屋、食堂…すべてことごとく荒されておったからのう。

先ほど案内した応接間は修復できるかどうかという段階まで荒されておったのじゃ。もはや、荒らしではなく、破壊と言った方が適切であるな。あれは。


…それ以来その絵を覆い、わしは田中さんに誰にも分らぬようにそれを隠したのじゃ。そうしたら荒らしはされなくなったのう。