「可哀想だな。」

全てを話し終えると、龍之介は呟いた。

「俺…本当に悪いことしたな…知ってりゃよかった。」

「私は知りながら酷いことをしました…」

二人はうなだれた。

「ん？」

俺は壁にかかっている絵を見ながら話していたので絵の額縁から何か紙が出ていることに気づいた。

引っ張ると、小さな紙に何か書いてある。

『クローゼットの中のキャビネットに隠してあります。』

なんのことだ？

「どしたの？」

龍之介が紙を覗き込む。

「クローゼットの中のキャビネットに隠してあります？何が？」

龍之介はベッドの隣のクローゼットを開けた。

すると右の奥にキャビネットがあった。

「これか。」

中身は…雨宮幸人、桐生桃花…美鈴さんの両親の新聞や雑誌の切りぬきがスクラップしてあった。

『雨宮幸人、最優秀芸術賞』

『桐生桃花、主演女優賞』

「新聞と雑誌の記事だな。しかも日にちが〇年だから美鈴さんがここに住む前の物だ。」

俺は新聞の一番古いのをみて言った。

龍之介は雑誌のある一ページを見ていた。

『桐生桃花、芸能事務所「Bell」を立ち上げる』

俺は次の段を開けた。

大量の手紙が入っていた。