龍之介は頭をポリポリかいた。

「おじいちゃんもどうかしてる。美鈴さんに似ているこの人をここに住まわすなんて。美鈴さんの二の舞じゃないか。娘のことを考えてるなら…」

「親父には親父なりの考え方があるんだよ。」

龍之介がきっぱり遮った。

「俺にはわからない。俺だったらそんなことしない。」

「そこまで桜子のこと考えれるならさ、少しは優しくしてやれよ。蘭も剛も。お前たち見てると辛い。」

「…帰る。」

椿君は鞄をもって走って行ってしまった。

「若いねぇ。」

龍之介は去っていく椿君を見て呟いた。

「彼は大丈夫でしょうか?」

明子さんが言う。

「気にすんなあっこちゃん。椿はまだ若いだけだから。」

龍之介は行こう、と言って俺たちは車に戻った。

「椿はね、俺の妹の息子。つまり俺の甥なんだよ。」

龍之介は運転しながら明子さんに説明した。

「そうなんですか。」

「美少年だろ?親父に似て断固とした意思を持ってる男だからな。」

龍之介は笑って更にアクセルを踏む。

そしてある一軒家に着いた。

白い屋根の大きな家…西洋風だった。

庭には色とりどりの花がある。

…しかも枯れていない。

ということは…誰かここに出入りしている?!