「かわいい弟と妹じゃん。いくつ?」

龍之介が写真に気づいて言う。

「妹の利奈は小学生の五年生、弟の政明は小学生三年生です。」

明子さんも写真を見て言った。

「私はそれから主人と相談し、真田家を離れ、この家に引っ越しました。

秀のことを忘れたことは一度もありません。

秀明には本当の父親のことを物心ついたときに私と主人から話しました。下の子達にもいずれ話します。

秀明は…私を少しも責めずにわかってくれました。

本当のことを話すと、秀明は言いました。

『僕には本当のお父さんが二人いるってことなんだよね?』

あの子は…面立ちも口調も優しさも秀にそっくりです。」

明子さんは涙を浮かべた。

「私はそれから贅沢をやめ、今は子供が学校に行くようになりましたからボランティア活動をしてもう一度人の思いやりについて勉強しています。」

「そうですか…」

俺はお茶を飲んで一息ついた。

「秀に対して私がしたことは許されるものではないと思います。ですが何もしないのもいけないと思うんです。だから私は自分で考えて行動したんです。」

明子さんは強く言った。

「そうか…」

龍之介は何か結論が出たように呟いた。