「お父さんとちっとも話さないし…最後は椿が…」

え？

何の話かと思ったが主が遮ったせいでわからなかった。

「やめなさい。それは誤解じゃ。」

「だって…もうやだよ…」

「お姉さま、私蘭ちゃんを落ち着くところに連れていきますね。」

あ、また隠れなければ。

えりさんはしくしく泣いている蘭さんを連れてどこかへ行ってしまった。

「私、明日中谷さんに謝ったら病院に行きます。」

長女は言った。

「そうか。」

「わかったわ。」

主と夫人は納得した。

そして優樹奈さん以外みんな出て行った。

「私どうしてこんなに変ってしまったのかしら…」

長女は力なく言った。

「人は変わっていくものよ、おばさま。」

優樹奈さんの声は優しかった。

「優樹奈ちゃんはどうしてそんなに私に優しいの？みんな私のこと疑うのに。」

「私は信じているからよ、おばさまを。」

「本当に？」

長女は信じられないような言い方だった。

「ええ。蘭ちゃんや椿君、それに剛おじさまもわかってくださるわ。きちんと話せば。」

「わかってくれるかしら…」

長女は不安そうだった。

「大丈夫よ。ただ、今はおばさまが落ち着かないと。」

優樹奈さんが元気づけた。