明日にかける橋

ピピピピッ、ピピピピッ。
 そのとき、おじいさんの腕時計のアラームが鳴りました。
「こりゃ大変だ。仕事に遅れてしまう。」
 もう雨はすっかりあがって、夕陽が西の空をほんのり赤く染めていました。あわてて走っていく、おじいさんの後姿が小さくなって、フッと消えたように見えたのは、錯覚でしょうか。
「私、夢でも見てたのかしら。」
 彼女は小さくつぶやくと、立ち上がり、歩きだしました
「うわぁ、きれい。」
 後ろで、誰かの歓声があがりました。