それをただ黙って、2人はながめていたのです。
どのくらい、そうしていたでしょう。ふっと彼女が目をやると、おじいさんは、花壇に咲きかけていたバラの花を、じっと見つめていました。
バラの花の根元には、たくさんの花びらが、泥水にまみれて散っています。ついさっきまで、淡いピンクの花びらは、太陽の下で誇らしげに輝いていたはずなのに・・・。
ポツリと、おじいさんが言いました。
「もう、二度と明日は来ないんだ。私はね、渡れなかった若者を、渡ることをあきらめてしまった若者を、たくさん知っているんだよ。」
それは、とてもとても、哀しそうな声でした。
ズキンと、胸が痛むのを感じながらも、彼女は言わずにはいられませんでした。
どのくらい、そうしていたでしょう。ふっと彼女が目をやると、おじいさんは、花壇に咲きかけていたバラの花を、じっと見つめていました。
バラの花の根元には、たくさんの花びらが、泥水にまみれて散っています。ついさっきまで、淡いピンクの花びらは、太陽の下で誇らしげに輝いていたはずなのに・・・。
ポツリと、おじいさんが言いました。
「もう、二度と明日は来ないんだ。私はね、渡れなかった若者を、渡ることをあきらめてしまった若者を、たくさん知っているんだよ。」
それは、とてもとても、哀しそうな声でした。
ズキンと、胸が痛むのを感じながらも、彼女は言わずにはいられませんでした。

