明日にかける橋

「もちろんだよ。でも今、君の橋は壊れかかっているみたいだね。だから、橋を渡るのが怖いんだ。歩いている途中で、もしも崩れてしまったら・・・。そう思って、橋の前で立ちすくんでいる。渡ることを、あきらめようとしているんだよ。」
「もし・・」
彼女は少しためらったあと、思いきったように聞きました。
「もしも、渡らなかったら、どうなるの?」
何も言わずにおじいさんは、ゆっくり、ゆっくり、パイプを吸い続けます。
 ポワン、ポワン、ポワン、ポワン。
まあるい煙が、いくつも、いくつも、浮かんでは消えていきました。