明日にかける橋

がっかりと、悲しげな顔をした彼女を見て、ポワポワとパイプの煙を漂わせながら、おじいさんはゆっくりと言いました。
「でもね、勇気を支えてあげることならできるんだよ。」
「勇気?」
「そう。見えない明日に向かって、歩いていく勇気。」
 とても無理だというように首を振ると、彼女はまた、うつむいてしまいました。
「いいかい。人は誰でもみんな、橋を渡って生きているんだよ。昨日から今日、今日から明日へと、毎日毎日、繰り返しね。」
「橋ですって。そんなの聞いたこともないわ。」
「みんな気付かないだけなんだ。自分が渡っていることにね。」
「私も?」
信じられないといった表情で、彼女が尋ねます。