奏橙くんは優しい。けど、その優しさはみんな同じ。
わたしにも、紫花にも。

わたしのことを好きだと言っても、紫花が泣きつけば紫花の方に行ってしまう。


それは、優しさなのだろうか。


「ごめん椎名、軽い気持ちで発言してほんとごめん」

「…違うの、桜庭くんのせいじゃないの」

「とりあえず場所変えよっか、すげー見られてるから」

「う、うん」


桜庭くんに手を引かれ教室から出た。
朝もこんな感じだったような…??


やってきたのは屋上。空は雲ひとつない晴天。
明るすぎて今のわたしには眩しいくらいだ。


「椎名にも、双子がいるんだっけ」

「…うーん、双子っていうか正確に言えば同い年姉妹、かな」