今思えば、昔から違和感はあった。




小学生の頃。



「橙樹くん、また漢字と算数のテスト100点だったんだね」


「うん」



テストが返却されて、父親に結果を見せている時。



「"しま"は漢字は82点、算数は…76点。全然悪くない点だね」


「……また、橙樹に負けた」


「テストは勝ち負けじゃないんだよ、"しま"」






"しま"…



─── 桜庭 しま



それがおれの双子の妹の名前。
父親はおれのことを"くん"付けで呼ぶ。





「なんで双子なのに橙樹はそんなに頭いいの!?」


「さぁねー、頭の出来が違うんじゃね」



自分で言うのもアレだけど、おれは頭も良かったし、運動もそれなりに出来てた。



テストは毎回100点だったし、運動会でリレーやる時は必ずアンカーやるくらいだった。