「椎名?」


「…っえ?」


「急に思い詰めた表情してたけど、なんかあった?」



今までのからかうような感じじゃなく、普通に心配するような声で話すからわたしもうっかり話しそうになる。



「…、だい、じょうぶ。奏橙くんは生徒会の仕事とかあるしわたしに勉強なんて教えてる暇なんかないよ」



「ふーん、でも理由はそれだけじゃないだろ」



す、鋭いな桜庭くん。
それともわたしが顔に出過ぎてるのかな?



「と、とにかく大丈夫だから困ったらクミちゃんに教えてもらうし」


「あぁ、安東さんね。あの人毎回テスト3位だもんね」



そう、うちの学年のテストの順位はいつも3位までは決まっている。


1位は奏橙くん。
2位は桜庭くん。
3位はクミちゃん。


この順番は1年生の時から変わらない。
わたしの周りは頭いい人ばっかだなぁ…。


「椎名はさ、」


「うん?」


「……」


「桜庭くん?」



桜庭くんが何か言いかけたところでちょうど授業が終わるチャイムが鳴ってしまった。