わたしは桜庭くんに見られないように、こっそり書くことにした。


【桜庭くんへ…

色々と助けてくれてありがとう。
桜庭くんが幸せになれますように。】


「……え、ちょ」

「あっ…」


ちょうど書き終わったところで桜庭くんに見られてしまった。
慌てて隠したけど、もう遅いよね…。


「いやー、あのさー」


桜庭くんは頭を抱えてその場に座り込んでしまった。
今更だけど、これじゃあ匿名の意味ないや…。


「まさか、同じこと書いてたとはな」

「え?」


【椎名へ

椎名が、幸せになれますように。】


見せてもらったメッセージカードには、綺麗な字でそう書かれていた。


「…わ、たしは幸せになれないよ」

「なんで?」

「だって、桜庭くんも知ってるでしょう?わたしは、どこにいても邪魔者なんだよ。」