「そうだ、3年生の出し物で匿名のメッセージカードっていうのがあったから持ってきたよ」

「匿名のメッセージカード?」

「うん、なんか相手の名前とメッセージ書いて箱に入れておけば後はその人のところに匿名で届くらしいよ」

「へぇ…そうなんだ。」

「……書けば?櫻に。」


奏橙くんか…。書きたいことはあるけど、きっとすぐにわたしだってバレてしまう。


「奏橙くんには、書かないよ。わたしだってバレちゃうから」

「匿名なら分かんねぇだろ」

「あはは、どうだろ」


奏橙くんならきっとわたしの字だってすぐに分かるはず。
だから、奏橙くんには書かない。


もし書くとするなら…


「どした?」

「んーん、桜庭くんは誰かに書くの?」

「それ言ったら匿名の意味ないだろ」

「確かに」


って言うことは桜庭くんも誰かに書くってことだよね。
一体誰に書くんだろう…。