「1人だと心細くて…、あははごめんね」


不意に視界が暗くなった。
それと同時にオレンジの匂いに包まれた。


「さくら……ばくん?」

「辛かったよな、ごめん。もっと早く戻ってくればよかった」

「いやいや、いいの!わざわざじゃがバター買ってきてくれてありがとう……」


じゃがバター、そうじゃがバター買ってきてくれたんだよね!
わたしが食べたいって言ったから!!


「ん、じゃあ食べよ」

「ありがとう、人たくさん並んでたでしょ」

「うん、おれが最後の2つ買った」

「えー、じゃあもう残り少なかったんだ」


桜庭くんが買ってきてくれたじゃがバターを食べながら他愛もない話をしていた。
気を使ってなるべく紫花や奏橙くんの話には触れないでいてくれた。