「……っはぁ、はっ…」



廊下は走っちゃいけないって分かってても1秒でも早く桜庭くんから離れたくて、走って教室に向かった。



あんな奴と、2回もキスするなんて。
それにわたし、奏橙くんと、比べてしまった。



奏橙くんとは、軽く触れるだけのキスしかしたことない。
気持ちなんてないくせに、なんであんな…



やめよう、考えるのをやめよう。
奏橙くんに失礼だ。まだ唇が熱を持ってて、熱い。



「あっ、桃花おかえりー!ねぇねぇ桃花いつから桜庭と仲良くなったの??」



「仲良いだなんてそんな、全然違う」



「その割には桃花顔赤いよ?」



「これは…その、廊下を走ってきたからで……」



「えーっ、そんなことしたら大好きな生徒会長さんに怒られちゃうよー」



大好きな生徒会長さん…つまり奏橙くんのこと。
クミちゃんはわたしが今も奏橙くんのこと好きだってことを知っているから。