声のする方へ向かうと、そこは、屋敷のおくの隅の方にある扉から聞こえた。
『...ここからだ...。』
(クルシイ...タスケテ...。)
『ま、またあの声...!』
扉には、頑丈な南京錠がかかっており簡単には開かなそうだ。
...どうしよう。
扉の前で立ち止まっていると、後ろから足音が聞こえた。
?「おねえちゃん、たすけて。」
声がして、振り返ると5、6歳くらいの男の子と女の子が居た。
女の子が言う。
女児「いたくてうごけないの。」
男児「おかあさんがくるしんでる。」
『お、お母さん?』
女児「そうなの、いそがないと、はやくたすけないと。」
女の子が泣きそうな顔をしながら言う。
男児「おねがい、おねえちゃん。」
いつの間にか頭痛は収まっていて、あの声も聞こえなくなっていた。
『わ、分かった。お母さんは何処なの?』
女児「こっち。」
男児「ついてきて。」
二人は屋敷を飛び出し、村を出る。
私はそれについて行き、走った。
ふ、二人共早い。
見失うことはないが、距離が空いている。
いつの間にか山に入っていた。
だ、大分奥に来たけど大丈夫かな。
山とはいえ、道は舗装されており、一本道なので迷う事は無さそう。
まあ、大丈夫かな。
今はあの二人に追いつかなきゃ。
『ふ、ふたりともっ、はぁ、...待って...。』
膝にてをついて、木にもたれ掛かる。
『あ、あれ?』
気づくと二人が居なくなっていた。
『お、おーい...。』
何の声も聞こえず、ただ木々がザワザワ揺れる音だけが私の耳に届いた。