そして麗音は軽く座ったまま礼をして再び鍵盤に手を置くと拍手と喋ってる声が止み、再び体育館にいる全員が麗音のピアノの音を聞く準備ができていた。
麗音がこの文化祭で弾く最後の曲。
再び麗音は「スーッと」深呼吸をしてピアノを弾き始めた。
この曲も茜が頼んだバンドの曲をピアノ用にアレンジしたものだった。この曲は物足りないと言い出した麗音が途中で弾き始めた曲だった。
本家とは違いゆっくりと会場を優しい音で包み込むように1音1音を弾いていた。まるで、赤ちゃんに聞かせる子守唄のように。
2曲目も問題なく1音も間違えることなく弾き終えた。再び体育館にいる人達はハッと我に返り拍手が飛び交った。そして周りを少し見ると体育館は人で埋め尽くされていた。まるで、麗音のピアノに惹き付けられたみたいに。