別に麗音は僕のことなんとも思ってない。意識してくれてたのなら友達のためとはいえこの前泊まった時も僕と同じ部屋なんかに普通は泊まらない。
「とりあえず帰るわ。後はラブラブなお二人で〜」
一刻も早くこの場を離れたかった。
「え?ちょ……」
智から呼び止められたけど聞こえないふりをして逃げるようにスタスタと家に向かって歩いた。
家に帰り、いつものように家事を済ませて自室で寝転んでいると麗音からLINEがきた。
『智から聞きましたよ。いきなり帰ったって。何かあったんですか?心配です』
やっぱり麗音は優しい。僕は麗音に一目惚れしたけど今では優しいところとか。実は食いしん坊なところと努力を惜しまないところとか。本当に色々。
『心配してくれてありがとう。別に特に何も無いよ。あの二人がラブラブだったから邪魔しちゃ悪いなと思って帰っただけ(笑)』そう送った。実際そんなかんじだったし嘘はついてない。
『それなら良かったです!私たちの文化祭来週なんですから体調管理はしっかりしてください!』
僕は思わず鼻で笑ってしまった。僕の母みたいなことを言うから。
『うん!楽しみにしとく!』
そう送ってから、母が仕事から帰ってきたので食事の用意をした。