「今度僕から聞いておくよ」
『ありがとう!』
二人は声を揃えてそう言った。
「そういえば」と茜と話題を振ってきた。
「この前言ってた連れてきたい人って誰なの?とりあえず、はいこれチケット。一応生徒会の人には友人ってことにしておいたけど…。」
話すべきか少しだけ悩んだが麗音のお父さんが僕の友人と思われるのはなんか嫌だったので正直に答えることにした。
「麗音のお父さんだよ。」
「え?なんで湊が誘ってんの??」
智の言う通りだ。普通の家族なら普通に麗音が誘うべきだ。麗音と僕には事情があるのだ。
「色々あるんだよ」
とりあえず笑って誤魔化すことにした。
「それって私たちにも話せないこと?」
彼らが麗音のことをどこまで知ってるのか僕には分からなかったし僕から説明したらいけない気がした。というのは言い訳で、僕の家庭事情も知られる怖さがあったからだ。
「うん。今はまだ話せない。ごめん。」
「何それ!意味わかんない」
茜がちょっとキレ気味にそう言った時に智が茜の肩をポンと叩いてから、
「茜。待ってあげようぜ。無理やり話させるのが友達か?そうじゃないだろ?話せるまで待ってあげる。それが友達だろ?」
智にしては意外だった。最近、僕の中での智の評価というかイメージが変わりつつあった。
「本当にごめん。でも、いつか話すから待ってて欲しい。」
「おう!」
「わかった。待ってあげる」
「ありがとう」
僕は良い友達をもてたな。いつかは必ず話すから。麗音のことは僕の口から話せないけど、僕のことは必ず話すから。