「……いつもよりやわく噛んでみる」
舌で首筋を軽くツーッとなぞって、大丈夫って安心させてくれる。
「ん……っ」
チクリとするのは最初だけ。
そのあと、グッと音季くんの唇が押しつけられて、血を吸われてるのがわかる。
「んー……。やっぱ、いつもみたいに噛むのがいーかも」
「ぅ……っ」
甘噛みだったのが深くなって、いつもと同じくらい。
「……知ってる? 吸血鬼って、満月の夜はいろんな欲が強くなるって」
ふと、窓の外を見れば夜空に綺麗な満月が見える。
「だから、真白に触れたくなる欲が抑えられなくなんの」
「そ、そんなの聞いたことないよ……っ」
「俺が真白限定でそーなるみたい」
さらにグッと深く噛まれて、いつもの身体にうまく力が入らなくなる感覚。
どこかにスッと落ちていきそうな不思議な感じに襲われて、ちょっとだけ怖くなる。

