「あっ、私だ、ゆめりんともうちょっとハグしてたかったのに…」
頬を膨らませて渋々離れながらスマホを取り出すと、マネージャーの海羽っちこと石塚海羽さんからの電話だった。
「ごめん、出てくるね」
一言断りを入れた後、教室の外に出て電話に出る。
「もしもし、海羽っちどうしたの?」
『どうしたのじゃないわよ!!あと20分で撮影なのに全然校舎から出てこないんだから!!!』
「あ、そうだった…ごめんなさい、忘れてた」
『はい、いそいで!!校門の前に車停めてるから1分以内に来るんだよ!!』
「海羽っちほんとごめん、今度カフェでごちそうする」
電話を切ったあと、急いで教室に戻る。
「すぅちゃんとりんちゃんとゆめりん!!ほんとごめん、撮影入ってるから先行っちゃうね!!」
「ん、お疲れ様」
「みーちゃん頑張ってね!!」
「みーたん、また明日!!」
3人の言葉を背に、廊下を走る。
なんとか校門まで辿り着くと、青い車が停めてあった。
海羽っちの、自慢の車。
後部座席に乗り込むと、すぐシートベルトを締める。
「飛ばすよ」
「うぅ……はい」
こうなったのは私のせいだから仕方がないけど、海羽っちが飛ばすと結構怖い。


