双子 天音side

その後、宇宙君と他愛ない話をするまで仲良くなった。生まれて16年間こんなに楽しいと思えたのは初めてだ。
だけど楽しい時間はあっという間に空は暗く、校門の外に移動した私達は家に帰るべく、手を振り別れた。宇宙君の後ろ姿を見ながらあることに気づく。

「あっ…時雨(しぐれ)梅雨(つゆ)を迎えに行かなきゃ」

急いで妹と弟を迎えに幼稚園に向かう。約束の時間から大分遅れている。すっかり忘れてたなんて言えないよ…。

10分後には二人の通う八雲幼稚園に着く。そして先生の所へ急ぎ迎えに来たことを言う。

「あら!今日は随分遅かったねぇ。2人ともお利口にして待ってたよ」

先生の言う通り2人は仲良く積み木で遊んでいた。そして時雨が私に気づきパァァァと笑顔になり「おねえちゃんだ!」と嬉しそうに言う。
梅雨はゆっくりとこちらを見て、ウルウルと目に涙を浮かべた。二人の性格が良く出ている。姉の梅雨はマイペースで、おっとりしていて泣き虫。
対して時雨は元気いっぱいでやんちゃ、でも人の言うことには素直な双子の姉弟。

「おねえちゃん!ボクね!つゆといっしょに、むかえくるまでまってたんだ!」

素早く走ってきて私に抱きつく時雨。梅雨は涙目で歩いてきて私の服の裾を掴んだ。

「天音ちゃん!こないんじゃないかと思いました!こんどは早くきてくださいね」