絶望 天音side
私は毎日いじめを受けている。別にアイツらに何かしたワケじゃない。気づいたら、ひとりぼっちになっていた。友達なんていない。
学校に行けば、男子から女子まで私にストレスをぶつけるように、罵声罵倒の繰り返し。最初の頃は、抵抗もしていたけどそんなのでアイツらが止まるワケがなく、エスカレートするだけだった。

先生にも勿論相談した。でも先生は自分のクラスにいじめがあることを認めず、私の勘違いで終わりにされた。私に希望なんて一つもなかった。

家にいても母親も父親も喧嘩ばかりで、私に見向きもしない。父親は大手企業の社長を勤めていて、お金に困ったことはない。母親は社長夫人なのを良いことに、やりたい放題で家事のひとつもしない。昔は父親の機嫌を、損ねないよう何から何まで頑張っていた。でも、父親の浮気を境に二人は喧嘩するようになった。まだ幼い双子の妹と弟を放っぽって。私は可愛い姉弟の面倒を、必然的にするようになっていた。別に苦ではない。


学校ではいじめられ、家にも居場所などなく、私は何のために生きれば良いのか…。そんな不安定な心のまま、一人で学校の屋上で風を浴びていた。赤く染まり始めた幻想的な空に、何故だか目から涙がこぼれる。1回流れ出したものは止められず、声を押し殺して泣き続けた。どうして私ばかりこんな目に…と考えても無駄なことを考えてしまい、涙は更にあふれるばかり。


「おい」


そんな時だった私が陽平と出会ったのは…。