「お母さん、行ってきます!」
いつも通りの朝、制服を着て玄関で靴を履きながら私は母に声を掛けた。
すると父と母が珍しく玄関まで見送りに来た。
「…恵美、身体には気を付けてね…何かあればお母さんに連絡してね…」
「------っは?」
父は少し悲しい顔で、私を抱き寄せた。
「お父さんは…いつも恵美を心配しているからな…」
「-------はぁ?二人ともどうかしているよ?…遅刻しちゃうから、もう学校行くね…」
いつも通りの朝なのに、その日の両親はなぜかいつもと違っていた。
高校へ行くだけなのに、やけに大袈裟なお見送りだ。
どうしたのだろうと、少し可笑しくも思うが、胸騒ぎのような、もやもやした気持ちにもなる。
(…まるで、もう会えないみたい…変なの…どうしたんだろう?…)
時計を見ると、遅刻ギリギリの時間だ。
私は全速力で学校に急いだ。
学校の校門が見えて、ラストスパートとばかり速度を上げた。
その時!!
突然、誰かが行く手を阻むように目の前に立った。
「急いでいるので、どいてください!!」
男性二人が私の邪魔をするように前に立っている。
その男性の顔を見上げた瞬間固まった。