み「ふぁ…ねむい…」

つ『おはよう深月(みつき)、早く行かないと遅刻だよ?』


そう言って呆れながらもちゃんと待っていてくれる彼女、月深(つきみ)は僕の双子の姉だ。

み「おはよ‥わかってるよ〜 でもゆっくり行こう?」


まだ眠い瞳を擦っていると、見透かしたように問う彼女、僕は開き直って言葉を返した。

つ『…また朝方まで起きてたのね』

み「別にいいでしょ、好きでやってるんだから」

つ『深月ってばもう……』

僕達が幼い頃に作った物を両親が
展示品として残してくれたこの店は

星や月の形をした硝子細工や小物
などを扱っている雑貨屋さん、
全て僕達の手作りだ。

作るのが好きで、楽しくてつい
朝を迎えることもそう少なくない。


み「まぁまぁ、聞いてよ月深、
すごくいい感じに出来たんだよ!」

つ『あら、どんな感じ?』

み「ふふっ…内緒♡」

つ『…はぁ…いじわるねぇ…もう深月なんて知らない…っ』

み「あ…ちょっ…待ってよ月深!悪かったってば…ねぇ置いてかないでよ〜!」


小さい頃、両親が亡くなってから
彼女はあまり喋らくなり、笑顔も消えていた。

僕はどうしても彼女の笑顔を
もう一度見たくて、取り戻したくて
彼女が好きな星や月を使って色んな家具を作り続けている。

今は、僕には笑顔を見せてくれるようになっても、学校や近所の人と話すには至たらない様子で…。

み「っ…も〜…ほんと足速いなぁ…
まぁいいや…後でお詫びのキャンディでもあげよ」