美奈は目に涙を浮かべていた。


「私は生死の境界線に立っていました」


・・・魔境か・・・。


如月は小さく呟いた。



「確か魔境と少年は言ってました。勿論半信半疑の私に、彼は本来の姿に変わったんです」



「本来の姿とは?」


「胎児の姿・・・でも・・・」


「でも、何ですか?」



「少年は、自分の無惨な姿を・・・見せませんでした」



「そうですか・・・その子はきっとあなたを試していたんでしよう」



如月の言葉に彼女は頷いた。



そばにいた男には、二人の会話は何を意味しているのか理解出来なかった。



「あの、あの人はやはり逮捕されてしまうのですか?」



男は驚いた。


「美奈、お前は殺されかけたんだぞ!あの女が逮捕されるのは当然だよ」



確かにそうだった。

でも、美奈の気持ちは自分の言葉から始まったこの出来事を、彼女ひとりに押し付けていいのだろうか?


美奈は如月に告げる。


「あの人を犯罪者にしないで下さい。私の償いは、あの人を支える事ですから」



「美奈、お前はどうかしてるぞ!」


「だって約束したのよ・・・私は生まれ変わるって。もう魔法の鏡の呪縛から解き放たれたから」



男は絶句した。