蒼月の約束


ドワーフの村を出る頃にはすっかり暗くなっていた。

来たときには、楽し気だった森が、日が沈んだとたん、表情を変えたため、四人は足早に宮殿へと戻る。


遅い帰宅の上、敵対しているドワーフに会ってきたなどと言ったら、王子がどんな反応をするかとひやひやしていたが、なんと幸運にもまだ王子は帰っていなかった。


「良かった…」


まずは疲れを取ろうと、お風呂に入ったエルミアは、湯加減が丁度いい湯船の中でホッとため息をついた。


「最初は、風の精霊。それが、エルフの王が予言の受け取り手。次が、土の精霊。アゥストリのお父さん…。あと、二人か」


他の精霊がどこに予言を持って行くのか、全くもって分からない。

「やっぱり、精霊の書を見つけないとダメか…」

お湯の中に潜りながら、泡をぽこぽこと出す。


そして、アゥストリが「呪いが効かないお前なら、太古の森に入れるかもな」と言っていたのを思い出した。


「黄金の羽根と、古代花の光る蕾…」


湯船の淵に両腕を乗せて、洞穴で聞いた今でもはっきり思い出せる、二つ目のヒントを口に出してみる。




蒼月まであと一か月。


それまでに、精霊の書を見つけて、王子の役に立ってから自分の世界も戻りたい。



日に日にそういう思いが、エルミアの中で強くなっていた。