自分の体がふわふわと浮いている。

すぐに夢の中にいるのだと分かった。


【急ぎなさい、エルミア】


この前と同じ声がどこからともなく聞こえた。

真っ白に光る空間に自分一人。
辺りを見渡しても誰もいない。

(あなたは、誰…?)

【急いで、精霊の書を見つけるのです】

(でも、どこにあるのか分からない…)

突然、頭の中にテレビのザーザーという不快な音が流れた。

【…見つか…しまう前に…】 


声が一段と小さくなった。


(ちょっと待って、よく聞こえない…)

【…―霊の書…、太古…―抜け―、鴉(カラス)…―に…】

(待って…!)


声がどんどん遠ざかり、そして何も聞こえなくなった。




それと同時に、エルミアは目を覚ました。