しばらく馬を走らせると、鋭く切り立った山に到着した。

ごつごつした岩山のところどころに小さな家がバランスを保って建てられている。

「ここは、ドワーフの山では…」

後ろについていたグウェンが訝しげに言った。

「王子、一体…」

アルフォードはさっと馬から降りると、何も言わずに洞窟へと足を進めた。

「エルフだ!」

洞窟の入り口で武器を作っているドワーフが気づき、声をあげた。

その声を聞きつけ、どこからともなく防具をつけ、武器を取ったドワーフが現れた。

グウェンはため息をつくと、アルフォードの前に立った。

「下がれ、ドワーフ」

「なんの用だ」

「戦いに来たのか?」

ドワーフたちが二人の周りを囲う。

「聞きたいことがある」

アルフォードはそう言い、服の中から横笛を取り出した。

「これを作った者は誰だ」

取り出したものが横笛と気づいて、ドワーフの中に混乱が生まれた。

「俺たちがこんなもの作るだと…」

「バカにするのもたいがいにしろ」

アルフォードはそれを手で制した。

「武器を作るのを得意としていることは知っている。しかし、これはドワーフの模様ではないのか?」

近くにいたドワーフに横笛を投げ渡す。

「ドワーフが受け継いできた加工技術だと思うが」

横笛にドワーフが群がる。

「確かにこれは先祖からの…」

「この技法は俺たちにしか出来ない」

「一体誰が…」

「おい、ここに名前があるぞ」

「…アゥストリ」