「身分をわきまえろ、勘違いするな」 廊下を早歩きで進みながら、エルミアは自分に言い聞かせた。 あの時、王子がどんなつもりで自分にキスしたのかは分からないが、私をそばに置いているのは、私の能力が必要なだけだ。 「あ~もう!かき回さないで~!」 頭をぐしゃぐしゃに掻きながら、エルミアはやり場のない気持ちを言葉にして吐き出した。