「え、コロボックル!?」
なんか本で読んだことがある!
フキの葉っぱを持っている、可愛らしい手のひらサイズの妖精たち。
「わ~!コロボックルも存在するんだ、この世界!」
嬉しさで顔を綻ばせているエルミアを不思議そうな目でエルフ三人は見つめる。
会ってみたいな~と言いかけて、言葉を止めるエルミア。
「あ、でも、あれ?フキの季節って…春か夏だよね?見つかるかな、コロボックル」
「その地域は、常に気候が安定している。嵐が数回来る以外は常に春日和だ」
後ろから声がして、王子がグウェンと入って来たのが分かった。
「しかし、恥ずかしがり屋の人種だから、会えるかどうかは運次第だが」
「そっか。でもとにかく行ってみるしかないね」
気まずいので王子の顔を見ないようにしながら、エルミアは明るく言った。
自分の失恋から立ち直るには、しばらく相手の顔を見ないことに越したことはないのだが、そうは上手くいかない。
「ここから、どれくらいかかるの?」
「そこまで遠くはない」
「じゃあ、今回は私たちに任せて下さい」
エルミアは立ち上がった。
「リーシャたちと、下見に行ってきますから」
「何を言っている。グウェン、すぐに出発の用意を」
「はい」
王子の顔を見ずに出かけるという作戦は、空気の読めない本人によっていとも簡単に阻止された。

