自室に戻ると、目を泣き腫らしてもなお美しい顔を保てているエルフ三人が、自分のベッドの周りにいるのを発見した。
しかし、エルミアを見た時の喜びようと言ったら、こっちが恥ずかしくなるほどだ。
自分たちの顔の崩れなど微塵も気にしないリーシャたちは、すぐさまエルミアに駆け寄った。
「み、ミアさま!」
サーシャがもはや涙交じりの声で言った。
「本当にこれで、よろしかったんですか?」
いつもはクールなリーシャも嗚咽を抑えきれないようだ。
「うん、これでいいの」
そして、泣きじゃくるサーシャの頭を撫で、背中にくっついて離れないナターシャと、泣きながらも凛と立っているリーシャを抱きしめ、その日初めて四人一緒にベッドで眠った。
「エルミアは、残る決心をしたのか」
月夜に照らされた、漆黒の長い髪、そして燃えるような赤い瞳。
その人物は、蒼い月を見上げながら、どこか愉快そうに口元をゆがめて言った。
「そのようですね」
その近くで膝をついた男が答えた。
黒いフードを深くまでかぶっているため、顔が全く見えないが、声はどこか幼い。
「とんだ、無駄骨だったようだ」
女性は自分の足元で眠っている、ずぶ濡れの少女を見ながら、呟いた。
「まぁいい。こいつも使えるだろう」
フードの男は、何も言わず、ただ静かにしていた。

